株式会社ギャクサン

起業家紹介【株式会社ギャクサン 代表取締役 山子 顕】

「逆算」を公共的なインフラに。
郡山発のSaaSサービスを開発・提供。


今や生活に欠かすことができない存在になったクラウドツール。次々に便利なクラウドツールがリリースされ、プライベートでも、仕事でも、活用する機会が急速に増えてきました。とりわけビジネスチャットやwebミーティングツール、スケジュール管理などは、利用されている方も多いのではないでしょうか。こういったサービスの提供形態は「SaaS(Software as a Service)」と呼ばれ、ユーザーがインターネットを介してクラウド上のソフトを利用できるような仕組みで作られています。首都圏からリリースされることが多い中、郡山市にもクラウドツールを開発・提供する会社があります。
山子顕(やまこ・けん)さんが創業した「株式会社ギャクサン」は、クラウド経営管理システム「GYAKUSAN」の開発・提供を行う会社です。




-創業の経緯をお教えください。

私は元々、会計事務所で経営支援を担当する部署に在籍し、様々な企業の経営支援に携わっていました。その後、「中小企業診断士」という国家資格を取得し、福島県の中小企業診断協会に会員として所属し、そこで経営支援をさらに学んだ結果、徐々に経営支援がメインの仕事になり、独立したという流れです。


─創業準備は大変なイメージがあります。誰かと一緒に手続きを進めていったのですか?

創業にあたって必要になる手続きは全て自分で行いました。freee株式会社が提供しているクラウド会計ソフトを利用していたので、そこまで時間もかからず。手続きという面で言えば、1時間ほどでしょうか。

その会計ソフトの付属サービスでデータを入力していくと、会社設立の手続き書類が出来上がるので、それを役場に持って行って……という形ですね。



─SaaSサービス「GYAKUSAN」の開発経緯をお教えください。

中小企業の経営管理は、成り行き経営が非常に多いというか、そこまで力を入れて経営を管理しています、というところは意外と少ないんですよね。そういうところをしっかりとやれば、多少なりとも今現在よりはよくなるだろうなという会社が多いんですよ。だから最低限の経営管理を世の中に広めることで、日本社会全体がもっとよくなるのではないかと考えたのがきっかけですね。
中小企業の経営支援の業界は、そこまで市場として成熟しているわけではなく、結構いろいろなプレイヤーがいます。サービスの品質に関してもバラツキがあって、言い方はよくないかもしれませんが、精神論・根性論のようなものをコンサルティングと称して行っていたりする場合もあります。業界的にスタンダードに経営管理ができるような方法があったほうが、世の中的にいいだろうと思いまして。あと、デジタル化が進んでいく中で、「コンサルティングをデジタル化することはできない」と言われることが多いのですが、そんなこともないだろう、ということで。
業界を見渡すと、経営管理のサービスはまだ世に無かったので、試しにやってみようかと考え、会計事務所を退職後、独立して開発するに至りました。



─そういったツールの開発にはエンジニアが必要になってくると思いますが、エンジニアもギャクサンに所属されているのでしょうか?

エンジニアについては、外部チームの方にご協力いただいていますね。
基本的にギャクサンに所属しているのは私だけなので、もし何か必要なことがあれば、都度クラウドソーシングなどを利用してお願いするようにしています。



─創業してよかったこと、大変だったことをお教えください。

 よかったことは、自分次第で動けること、全ての責任が自分にあるということです。例えば、誰かに指示されるとか、そういうこともないので、自由な感じで働けるのはいいことかな、と。
創業して2年ほどは土日の感覚も無いぐらい働いていたのですが、「やらされている感」は無かったので、その点はよかったです。でも、気が休まらないのでメンタル的に厳しい時期は多かったですね。
そもそも仕事を受注できるのか、受注しても成果が出せるのか、そういったことを考えている時期は、非常にハードでした。大変だったことは大きく2つあります。
1つ目は、共同創業の難しさです。実はギャクサンは、私とコンサルティング会社の社長を務めていた方の2人で創業しています。でも、2人で進めていくと、意見の食い違いや役割分担のあやふやな部分があったりして、どうしてもうまくいかないことが多くありました。なんとか進めてはいたのですが、実は「GYAKUSAN」の開発を最初にお願いしていた会社の開発が頓挫してしまい、その出来事を機に共同経営を解消しました。この出来事で、共同経営の大変さ・難しさを知りましたね。

2つ目は本当に単純なことなのですが、「稼がないとお金が無い」ということです。創業当初はコロナ禍で、対面での営業・コンサルティングができなかったので、スポットでお仕事をいただくという状況でした。所属している中小企業診断協会のメンバーとしてお手伝いをしていたので、それを経由して金融機関などからご相談をいただいて、自分が受託して……ということが多かったですね。



─会社として、これからの目標はありますか?

社名・サービス名にもなっている「逆算(ギャクサン)」という考え方は、どんな分野でも目標達成が容易になる考え方だと思っています。開発した「GYAKUSAN」は中小企業向けなのですが、例えばこれを勉強や運動、ヘルスケアといった分野にも同じ形で展開できるのではないか、と考えているんです。10年後にはそういったサービスをグローバル展開し、グローバル市場で売上高1,000億・社員1,000人の会社にするということが目標です。
その目標に向かっていく過程で、3年後には「GYAKUSAN」も中小企業シェア率を約3%、10万人・10万社に使っていただくということを目標にしています。

今の経営コンサルティングの在り方は、限られた誰かにとっては100点でも、他の誰かにとっては0点だったりするのではないかと感じています。私は、ある程度の妥当性で、誰でも60点ぐらいをとれるもの、より幅広く伝えられるものを、あくまで当たり前の考え方として浸透させたいと考えていて。それを実現できるのは「GYAKUSAN(逆算)」というシステム(考え方)なのではないかと思っています。
「逆算」というのは考え方のフォーマットに過ぎません。パソコンのOSを入れ替えたり、技術革新でテクノロジーが進化して新しいものに置き換わっていくのと同じように、新しい考え方で人々は進化しているはずです。「数値目標や行動計画を立てて進捗管理を行いましょう」という、言ってしまえばごく当たり前のことではあるのですが、これが意外と世の中には浸透していないので、そういう考え方を公共的なインフラにしていきたいです。

ゴールを決めて、目的地まで案内してくれる「カーナビ」は、最も分かりやすい「逆算」の例です。目的地(数値目標)を設定して、ルート(行動計画)を決め、目的地までの道のりを仮に間違えたとしたらルートを修正(進捗管理)してくれる。カーナビは皆さんお使いだと思いますので、もうこの「逆算」という考え方自体が有効だということを体感しているはずなんです。だからこの考え方を、経営管理にも使っていきたいという想いがあります。



─これから創業を考えている方へ向けて、何かアドバイスはありますか?

 それこそ「逆算」で物事を考えてみてほしい、ということですね(笑)。
10年後はどういう人生を歩んでいたいとか、収入はどれぐらい欲しいとか、そういうところから自分の理想的な姿を考えていただくと、そのために必要な売上や事業の在り方が見えてくると思います。
そこに向かって、自分はどんなアクションをしなければいけないのか、あるいは自分以外であれば誰がいつまでに何をするのか、そういうことをまとめていって、定期的に振り返ってみることは大切です。
きっと、こういうことができる方は、ほぼ失敗をしないのではないでしょうか。つまり、ぼんやりとしたイメージだけで創業しない、ということですね。



クラウド経営管理システム「GYAKUSAN」の開発・提供/経営コンサルティング業務

株式会社ギャクサン

〒963-8023福島県郡山市緑町9番12号

TEL:050-6873-4353

ホームページ:https://gyakusan.co.jp/

代表取締役 山子 顕

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