株式会社ケイリーパートナーズ

起業家紹介 [2hours(トゥーアワーズ) 代表 / 株式会社ケイリーパートナーズ 取締役 CCO 鷲谷 恭子]

子育て中のママが、1日2時間から働ける仕組み。

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人生のターニング・ポイントになった3.11。

就職氷河期のなか、『JR東日本』の内定を決め、1999年、『早稲田大学』政治経済学部政治学科を卒業した鷲谷恭子(わしや・きょうこ)さん。大学で学んだ地方自治や地域振興に関わる仕事に就きたいと考えていたので、納得の就職でした。研修後、盛岡支社へ赴任。2002年、結婚。2004年、東京の本社へ転勤。2005年、長女出産。2007年に退社して専業主婦になり、2009年、地元の郡山へ戻ります。同年、次女出産。東日本大震災と福島第一原発事故が起きたのは、ご主人が東京で単身赴任中、長女5歳、次女1歳のときでした。不安に押しつぶされそうになりながら、東京から帰ってくるご主人を待ち、16日に家族全員で秋田にあるご主人の実家へ避難しますが、ご主人は東京へとんぼ返り。5月の連休明け、母娘3人は、幼稚園の再開に合わせて郡山へ戻ります。「再開したといっても、園児は震災前の3分の1でした。当時はものすごく葛藤していた、という記憶だけがあります。何を葛藤していたのか、いまだに明確な言葉になりません」と鷲谷さん。避難先での子どもに対するいじめが報じられ、長女が「私、一生福島から出られない」と泣きじゃくったそうです。「母親として、強い危機感に駆られました。何かできることはないか?」
──そんな思いでいた鷲谷さんが出会ったのが、
『子どもの笑顔 THE BIG K.I.S.S.プロジェクト』です。



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被災者と、義援金などの支援をマッチング

──『子どもの笑顔 THE BIG K.I.S.S.プロジェクト』
とは?

「国際結婚して海外で暮らしている日本人の家庭と、その子どもたちのネットワークづくりと支援」を目的に設立されたボランティア団体です。ところが、3.11以降は、その活動に、「海外からの支援を、被災した子どもたち(保育園、幼稚園、小学校など)につなぐ」という、それまでとは逆方向のミッションが加わります。きっかけは、オーストラリア・パース在住の日本人ママたちが、バザーや募金で集めて福島の事務局に届けてくれた義援金でした。その後、他の国内外の団体からも、あたたかい支援が寄せられるようになります。そんな中、「支援金を、どこへ届けるのがよいかを考えるのは、実際に子育てをしている世代が適任。手伝ってくれる人はいないだろうか?」というプロジェクトの事情を知って、手を挙げたのが2013年の春。今も、郡山ブランチ代表として活動を続けています。支援のマッチング以外にも、放射線についての出前講座や、親子向けの交流イベントなどを行ってきました。



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ママたちと、企業のニーズをマッチング

──そうした活動が、現在のお仕事につながっているのですか?

震災後、さまざまなボランティア活動や、震災関連の会合やイベントなどによって、ママたちの交流の場が増えました。震災による混乱が、とりあえずにせよ収束した今、つねに話題になるのは「働く」ことについてです。子育て中の多くのママたちが、「今はフル・タイムで働くのはムリだが、先々のことを考えると、世帯収入を増やしたいし、仕事を通じて社会とつながってもいたい」と考えているのです。私も、『子どもの笑顔 THE BIG K.I.S.S.プロジェクト』の活動を続けるなかで、多くのママたちと知り合い、思いを語り合いました。いっぽう、検討メンバーとして活動している郡山商工会議所の『郡山グランドデザインプロジェクト』を通じては、企業のトップや事業主の方々のお話をうかがう機会がありました。片やママたち、片や企業側のお話をうかがっているうちに、両方のニーズをマッチングできたらと考えたのです。




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1日2時間から働ける仕組み。

──2019年1月には《ふくしまベンチャーアワード2018》優秀賞、2月には《第1回 郡山地域クラウド交流会》で優勝されています。ママたちと企業のマッチングも、ビジネス・モデルとして着眼されたということですか?

多くのママたちは、「いきなりフル・タイムはハードルが高すぎるが、ムリのない範囲でなら、今すぐにでも働きたい」、いっぽう多くの経営者たちは、「人事面のリスクを増やさずに、経理などの処理能力を高めたい」と考えておられます。その両方のニーズを満たすのが、昨年の5月に始動させた『2hours(トゥーアワーズ)』──1日2時間から働ける仕組みです。企業から経理などの仕事を請け負い、短時間勤務を望むママたちがワークシェアリングで担うのです。1日2時間しか働けない期間は、そう長くありません。その間、たとえ1日2時間でも仕事を通じて社会とつながり、スキルを高め続けていれば、子育てが一段落して本格的に社会復帰するときも、あわてなくてすみます。あくまでも“自分ごと”として思いついたのですが、ビジネスとして成り立たせることが、この仕組みを広げるための必須条件ですよね。



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経理代行の株式会社を設立した理由と経緯。

──昨年10月に『ケイリーパートナーズ』を設立されていますね。こちらは?

『2hours』の第一弾として、ママたちが短時間の働き方でスキルを身につけられる「0→1スペシャリスト」というプロジェクトをスタートさせたのですが、その際、想いに共感し、パートナー企業として歩みを進めてくれたのが『税理士法人三部会計事務所』でした。6月以降、働きたいママたちに向けた勉強会、実践研修を進めながら『2hours』の仕組みを詰めていくなかで、経理という仕事は、企業とフリーランスのマッチングではなく、パートタイマーとして人材を確保、育成し、一つの“会社”として仕事を請けるほうが、持続可能な事業成長を見込めるとの判断に至りました。そうして10月1日に設立したのが『2hours』と『税理士法人三部会計事務所』のジョイントベンチャーである『株式会社ケイリーパートナーズ』です。 働くママたちにとっても、より安心できる環境で、チーム意識をもって働けるステージを用意できたと思います。しかし、株式会社設立となると、これまで準備してきたものを大きく転換する部分もありましたので、短い期間で必死に準備を進めました。役員で知恵を出し合い、想いを合わせて作り上げたクレド(行動規範)などは、まさに弊社のブランディングの礎となっています。 会社設立から5ヶ月、はじめは1日2時間から働きはじめたママたちですが、「もっと働きたい」と6時間勤務する小学生の子どもがいるママも、子連れ出勤で、「2時間だからこそ働ける」という未就園児の子どもがいるママも、「それぞれの生活の調和を大切にしながら、お客様に信頼される仕事をしよう」と、心を合わせて業務に臨んでいます。




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「誰もが自分らしい調和で働き、社会と繋がる未来」をめざして。

──では、『2hours』は発展的解消ということですか?

そうではありません。私自身はもちろんですが、社会も、「子育て中でも、1日2時間なら働ける。働きたい」と願うママたちの存在を無視することはできません。そして、ママだけでなく、短時間で働ける仕組みによって労働参加できる人たちはたくさんいるはずです。そのニーズを、企業のニーズに合致させるシステムを提供することは、単なるビジネスではなく、社会全体に対して、働き方の新たな可能性を示唆することになると考えています。『株式会社ケイリーパートナーズ』を設立したことで、実質的にも、気持ちのうえでも線引きができ、『2hours』と『株式会社ケイリーパートナーズ』とのそれぞれでやりたいこと、やれること、やるべきことが、より明確になりました。『2hours』の代表としては、人財活用、キャリア形成のコンサルティングに取り組んでいくつもりです。



2時間で働こう。
2hours
代表

〒963-8071 福島県郡山市富久山町久保田字水神山13番地の4

Mail : k-washiya@2hours.jp

ホームページ : www.2hours.jp/


株式会社ケイリーパートナーズ
取締役 CCO

〒963-8071 福島県郡山市緑町16番1号

Tel : 024-922-1321

Fax : 024-922-6363


鷲谷恭子

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