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起業家紹介【ポラリティセラピーの専門サロン マザーズ・ベッド 代表 ミョウカさん】
ポラリティセラピーで、福島を元気にしたい。
アラフォー主婦が、剃髪して得度。
──2016年7月、《創業チャレンジショップ》に、『ポラリティセラピーの専門サロンマザーズ・ベッド』をオープンしたミョウカさん。「ミョウカ」は、漢字で「妙香」。得度したときに授かった法名(僧名)で、戸籍も「妙香」に改名したそうです。
じつは、ミョウカさんの生家はお寺です。住職のお父上は、厳格な人でした。26歳で結婚、お相手は真面目な男性でした。ミョウカさんも、結婚前は父親が期待する「よくできた娘」、結婚後は夫が望む「よくできた妻」であろうと努めました。結婚の翌年には娘さんが誕生し、“良妻”に“賢母”が加わります。しかし、10余年後、ミョウカさんの平穏な暮らしに、中学生になった娘さんの不登校というかげりが生じます。ミョウカさんが得度したのは、その頃です。生家がお寺という環境はあったにせよ、中年のフツーの主婦が、比叡山延暦寺で2カ月間、剃髪して修行したのです。その後、娘さんは転校しましたが、休みがちの状態が続きました。転校先のある先生が、そんな娘さんをつねに気遣い、進学についても親身になってサポートしてくれたそうです。「娘が、短大を卒業して、就職もできたのは、元を辿れば、あの先生のおかげです。当時、漠然とですが、『この先生のように、私も、誰かの役に立ちたい』と思った記憶があります。いま、私がポラリティセラピーのセラピストになっているのは、そのときの気持ちと無関係ではないのかも…。こじつけかも知れませんが、そんな気がしないでもありません」とミョウカさん。しかし、その頃のミョウカさんは、ポラリティセラピーを知りませんでした。
調べて、ポラリティセラピーに行き着く。
──いつ、ポラリティセラピーを知ったのですか?
娘のことがあって、色んな本を読み漁っていたのですが、そのなかの1冊に、サイキックマッサージ(瞑想と融合したマッサージ)の本がありました。そのサイキックマッサージを入口に、健康法や療法を勉強し始めました。仏教つながりで、アーユルヴェーダ(世界の三大医学のひとつと言われるインドの伝統医学)は知っていましたが、ほかにも、気功(中国古来の健康法)、霊気(自然体療法)、クレニオセラピー(頭蓋骨調整法)、リフレクソロジー(反射療法)、アロマセラピーなど、さまざまな健康法や療法があって、理論的に共通する部分もあるし、異なる部分もあります。ひとつの理論に限定すると偏ってしまう気がして、普遍的な真理を知りたいと思い、さらに調べていくうちに、ポラリティセラピーを知ったのです。
──ポラリティセラピーとは?
アメリカの医師、ランドルフ・ストーン博士(1890~1981)が開発したホリスティック(全体的な)療法です。「ポラリティ」は、「極性」という意味で、人間の体の磁場の極性を利用したボディワーク(手技)などで、体のエネルギーの流れとバランスを整え、心身両面の健康を促進します。健康とは、「体・心・魂」がひとつの生命体として調和しリズムを保っていて、魂が、心と体を通して自由に表現できている状態のことです。象徴的な表現ですが、人間は、自然界と同じように、「空・風・火・水・地」という5つのエレメントでできていて、体調や思考などを左右します。そのバランスを整えるのがポラリティセラピーです。「空・風・火・水・地」の、ひとつひとつの意味を読んで、「なるほど、これが私の求めていたものかも」と感じたのです。
東京へ通って、170時間のトレーニング。
──ポラリティセラピーを知って、どうしたのですか?
ネットで調べて、家庭でできるポラリティ・ボディワーク(施術)の講習会を知り、東京まで出掛けました。インストラクターの指導に従って、2人が組みになって交互に施術するのですが、最初は半信半疑でした。でも、続けているうちに、普通のマッサージでは経験したことのない体の反応があって、「アッ! これって何なの?」と驚きました。自分の体が、勝手に動いたのです。終わってみると、凝っていた肩のあたりだけでなく、体全体がラクになっていて、気持ちもスッキリしていました。何度か講習会に通って、娘にも試しましたが、娘も、スッキリ感があると…。それで、本格的にやってみようと決めたのです。
──本格的というのは?
『日本ポラリティセラピー協会』のプラクティショナーになることです。
──どうすれば、なれるのですか?
ポラリティセラピーの場合、協会公認のセラピストを、プラクティショナーと呼びます。プラクティショナーになるには、セミナー受講140時間、実習30時間、セッション体験5時間、計175時間のトレーニングを受けなければなりません。
──トレーニングは、東京ですよね?
はい。トレーニングは毎回内容が異なるので、1回お休みすると、その内容のトレーニングは次の年まで待たなければなりません。そういうこともあって、私の場合、資格を取得するまでに2年かかりました。
経営者である前に、プラクティショナーでありたい。
──少なからぬ時間と費用がかかったわけですね。サロンの開業も考えていたのですか?
いいえ。目標は協会公認のプラクティショナーでしたが、目的は娘のためでした。ポラリティセラピーのおかげで、中学生の頃の娘と、今の娘とは、まるで別人です。でも、変わったのは、娘だけではありません。私自身も変わりました。
──どう変わったのですか?
「こうでなければならない」という固定観念から解き放たれて、本来の自分を取り戻した感じです。体調も良好です。娘のためにと、いろいろ調べ、ポラリティセラピーに行き着いたのですが、その意味では、娘が私を変えてくれたと言えるかも知れません。
──ポラリティセラピーを、ビジネスにするつもりはなかった?
純粋にビジネスとして起業するつもりなら、ポラリティセラピーは選ばなかったと思います。でも、資格を取得してからは、ポラリティセラピーのサロンをつくれば、より多くの人に、「悩みを解消し、人生を前向きに考える」きっかけを提供できると考えるようになりました。
──では、サロンをオープンした経緯は?
猫を飼っていて、施術の邪魔になるのです。猫は、かまってほしいだけで、邪魔をするつもりはないんでしょうけど…(笑)。猫好きな人ならまだしも、なかには猫の嫌いな人がいらっしゃるかもしれません。「施術専用のスペースがあったらいいな」と考えていたとき、知人が、《創業チャレンジショップ》のことを教えてくれたのです。
──出店する以上、ビジネスを考えざるを得ませんよね。
悩んだ時期もあります。でも、やっぱり、経営者である前に、プラクティショナーでありたい。今では天職だと思っています。「プラクティショナーとして、ひとりでも多くの人のお役に立ちたい」という気持ちを貫けば、ビジネスは後から随いてくる──そう信じて、割り切ることにしました。まだ繁盛しているとまでは言えませんが、リピーターは確実に増えています。
言葉の要らないコミュニケーション。
──《創業チャレンジショップ》の契約を、1年延長されたのですね。
新規に応募される方と同じ条件で審査を受け、おかげさまで、契約を更新していただきました。その評価を裏切らないためにも、これからの1年をムダにしないように頑張ります。
──2年目の、さしあたっての目標は?
1年目で痛感したのは、サロンの存在以前に、ポラリティセラピーそのものの認知度が低いことです。とにかく、ひとりでも多くの人に、「ポラリティセラピーとは何か」を理解していただくことが先決です。「体の磁場の極性を利用したボディワーク(手技)」と言っても、ピンとこないかも知れません。でも、ポラリティセラピーは、きわめて科学的な療法なんです。
──サロンへ来て、施術を受ければ、たちまち理解していただける?
それはそうなんですが…。サロンへ足を運んでいただくためには、「ポラレティセラピーとは何か」を理解していただかなくてはなりません。堂々巡りですね(笑)。でも、このサロンをご利用いただかなくても、世の中にポラリティセラピーが広まれば、多くの人が元気になるはずです。私がそうであったように、ご家庭でやっていただいてもよいのです。
──とはいえ、ミョウカさんも、最初は講習会に参加されました。
そうでしたね(笑)。
──郡山では、ポラリティセラピーのサロンは、ここだけですね。
ほとんどが首都圏で、東北地方では、このサロンだけです。福島には、まだ震災から立ち直れていない人が大勢います。福島にこそ、ポラリティセラピーに出会える場所が、もっと沢山あったらよいのにと思います。「気持ちが晴れないのは、震災が原因」というところまでは自覚できても、「では、どうしたらよいのか」が分からない──そういう方に、ぜひポラリティセラピーを体験していただきたいのです。「毎朝、起きた途端、不安な気持ちに襲われていた。それが、ポラリティセラピーでなくなった」とおっしゃる方もいます。
──ポラリティセラピーは、体だけでなく、心のケアでもあるのですね。
私は、ポラリティセラピーを、言葉の要らないコミュニケーションだと思っています。言葉を交わさなくても、その人の内面が分かるような気がすることが少なくありません。ポラリティセラピーを開発したランドルフ・ストーン博士も言っているように、「体・心・魂」は、別々のものではなく、ひとつの生命体なのです。
ポラリティセラピーの専門サロン マザーズ・ベッド
福島県郡山市中町 10-6 チャレンジショップ内
TEL.080-9011-7537
坪 妙香