「最近はドローンにハマっていますが元々は農業向けサービスの一環です。あ、その元は人材サービスですが（笑）」とドローンを片手に楽しそうに話す佐藤さんは、人材派遣会社に１５年勤め、昨年１月に株式会社コレクトプレイスを設立、起業を果たしました。「人材・農業・ドローン」という謎めいた事業内容を紐解くべく、会社設立から今後の事業展開についてお話をお聞きしました。

　前職では人材派遣会社で仙台・郡山・いわきの営業を担当していた佐藤さんは南相馬出身。実家の農業を継ぐ予定でしたが、東日本大震災の影響からしばらく農業再開は難しい状態であったため、まずは経験を活かしたビジネスとして人材サービスを開始、株式会社コレクトプレイスを設立したとのことです。現在、人材派遣会社向けのイベント企画・運営を中心に展開、まもなく人材派遣業の許可も取得する予定とのことです。並行して実家の農業も今年から再開しました。その際に佐藤さんが感じたのは「人材の不足」でした。農業でも同じであり、後継者も新たな就農者も減少している現状があるとのことです。

　「業種関係なく人材に関する共通する原因があると思います。働きたい人がいないわけではありません。求人が来ない、社員が定着しないなど、多くは雇用側と働き手のミスマッチ。パズルはピースが合わないと成立しませんが、雇用も同じ。働き手に雇用側が合せていく必要があります。雇用側の懐の深さがないと。これは農業も同じで、新しい農業になっていかないと。」
　先端技術の農業への活用がその切り口になると佐藤さんは熱く語ります。
　「農薬散布などの作業へのドローンの活用は労力削減になり、既に実用化も進みつつあります。そのような技術の応用とともに、農業の楽しさをPRすることも大切だと思います。」
　現在、ドローンの練習場としての農地活用やバーチャル・リアリティ（VR）技術の活用などを進めているのも農業への人材確保のためということです。

　人材サービス・農業・ドローンという３つの事業を推進している佐藤さん。起業からの１年間はあっという間であったとのこと。その中で最も実感したのは、サラリーマン時代には味わうことのできなかった「仕事の醍醐味」だとのことでした。
　「仕事の達成感はとても大きくなりました。もちろん責任も大きくなりましたが、起業して初めて感じる達成感です。人脈の大切さも実感しています。」

　そんな佐藤さんに起業するにあたり大切なことをお聞きしました。
　「やりたいという強い意志。そして一歩踏み出す勇気ですね。15年サラリーマンを続けてきたので、一歩に躊躇しました。でも、踏み出すとやりたいことがどんどん広がっていきます。自分でも自分の将来が楽しみです（笑）。」

佐藤義行

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